昔ながらのよくある木造平屋。
その中で圧倒的に主張している玄関扉脇の石張りの外壁が、只者では無いオーラを醸し出している。
その揺るがない主張と並走して、駐車するわけでもないのに道路に向かって大きく開かれた間口とゆるやかな境界線が好感度をあげている。
植物の配置の仕方も意図的であるように思えてきてしまうから不思議。
そして豊かに手入れされた芝生を抱える庭へと続く。
完全なる個人宅であるにも関わらず、まるでカフェや雑貨店のように開かれていて、思わず入って行って縁側でお茶したくなる。
拒否しないこと、厳密すぎないこと、自分以外の人も楽しませること。
個人宅といえども、街の中の風景のひとつを担っているという事実を考えたとき、個人宅にも多少の公共性を備えてほしいと思う。
塀でガチガチに自分の所有地を主張し、警備会社のカメラが光り、全てが管理されている住宅が集まって出来る街より、この写真のようなおおらかな住宅がそれぞれの人間性を滲ませながら身を寄せ合う街の方が、絶対楽しいに決まっている。