築45年の木造中古住宅のリノベーションである。
崖の途中にある見晴らしが良く明るい敷地とは対照的に、細分化された個室と木目調の仕上げなどが室内の印象を暗くしていた。
施主は、30代前半の夫婦と子供の三人家族。
若い三人家族には余裕のある延べ床面積を、個室で埋めるのではなく、敢えて用途を決めない場所を作ることで、将来的な家族構成の変化や家族以外の住人(施主は外国人留学生のステイ先の提供も考えている)との交流のきっかけとなるような空間ができないかと考えた。
まず1階のリビングダイニングの中心に階段と吹き抜け作り、断絶されていた1,2階の空間的つながりを強めた。また2階の一部の床レベルを上げ、小屋裏空間を広く一続きに利用することで、個室以外の空間が単なる廊下ではなく、セカンドリビングのようなセミパブリックな居場所となるよう設計した。
家の中心にある階段と吹き抜けを象徴として、床や天井がレベルを変えながら緩やかにつながり、結果として多様な居場所を生み出している。
所在:東京都小金井市
施工:きよたけ建築工房
写真:樋口晃亮
設計:studio83