突然ですが、苔が好きです。
結構前から好きなのですが、一番始めの記憶は、中学生の頃住んでいた団地の裏にある西原自然公園と小学校の間にある歩行者と自転車しか通らない細い抜け道にあったそれです。
じめじめとして昼間でも薄暗く、夕方には怖くて通れないようなその道に、梅雨から初夏にかけて、無機質なコンクリートブロック塀を覆い尽くす鮮やかで妖艶なその姿に、単純に美しさを感じることに、自分の変質性を見てしまったようで、何となく後ろめたかった記憶があります。
じめじめした場所を好み、へばりついて広がっていくその生態系は、本来であればあまり良い印象を与えてくれません。
そのマイナスなイメージと美しさの同居、それも惹かれる理由なのかもしれません。
だいぶ大人になった今、ようやく苔好きを公言出来るようになりましたが、実はあまり苔について、良く知らないということに気がつきました。
そこで、この夏、苔で有名な西芳寺(通称、苔寺)に足を運ぶ計画をたてています。それまでに、少しは苔について知っておきたいと思います。
まず手始めに、何気に一番気になっていたこと、「コケ」と「カビ」ってどう違うの?ということについてです。
私だけでしょうか、好む生息環境や増殖の仕方などの類似性から、実は違いがよくわかっていませんでした。
専門的な話は置いておいて、大きな違いはこれ。
コケ:植物。湿気の多い場所を好み、丈の低い草状のものを生やす。植物なので有害ではない。
カビ:菌類。湿度と水分があれば無限に増殖する。身体に入れば有毒。
なるほど。。言われてみれば当然に納得。。。
かの日本国歌にも唯一歌われている植物でもある苔。
そう思うと、日本人と苔との関係も長く深そうです。
「転石苔を生ぜず」という諺もあります。
転がる石には苔は付かない、ということから、職業や住居を変えてばかりいる人は、地位も財産もできないという意味です。一方、活発な活動をしている人は時代に取り残されることがないという意味でも用いられるそうです。
この正反対な二面性を持つところも苔を例えに使った所以なのでしょうか。
益々、興味が湧いてきました。