長年使用されていなかった工務店の元事務所であるコンクリート造の平家の建物を、雑貨とコーヒーのお店として生まれ変わらせるプロジェクトである。
強い物質性を感じるコンクリートの塊とは対比的に、新しく挿入するコーヒーカウンターや什器は、木の角材をフレーム状に組み合わせた構成とすることで、線的な要素を強調し軽やかなデザインとした。
また、整然とグリッド状に並んだ既存のコンクリートの柱に対して、新しく足す木のフレームは、古いものから浮き上がるかのように斜めに配置することで差異を表現し、エントランスから入ってくるお客様を自然と迎え入れる、新しい場所の象徴となるよう考えた。
可変性があり、加工性の良い「木」という素材の特性をもって、自由に、加えたり延長したり繋いだりしながら、店主の描く今後の場所作りのきっかけとなるだろうことも期待している。
亡き父親がつくった揺るがない土台(物質)を再生し、娘夫婦が新しく軽やかで自由な精神を発揮する、そんな場所になるようにと考えて設計した。
type:interior
type:shop
date:2018.12
size:34.46㎡
location:福島県西白河郡
施工:長屋